政府の「教育未来創造会議」(議長=岸田首相)が5月にまとめる提言に、中間層世帯の大学生らを対象とする新たな修学支援が盛り込まれることが分かった。既存の給付型奨学金や授業料減免の支援制度を拡充し、世帯年収の目安が380万~600万円の家庭への支援を新設する。理工農学部系の学生や子どもが3人以上の多子世帯が対象となる見通しだ。中間層の教育費負担を軽減する狙いがある。
現在、大学の学部生などが対象の給付型奨学金制度は、主に低所得層向けで、中間層の多くは貸与型を利用している。現行の給付型奨学金制度は、親の年収や学校の国公私立の別などに応じて、授業料や入学金の減免額と生活費などを賄う奨学金の支給額が決まる。
現行制度では、私立大学に通う独り暮らしの学生の場合、全額支援を受けられる住民税非課税世帯で、給付型奨学金が年約91万円、授業料減免が年約70万円となる。新たに拡充される、年収の目安が380万~600万円の世帯の学生に対する支給額は、全額支援の4分の1程度になる見込みだ。
理工農学部系は実習や実験が多く、授業料が高額になる傾向がある。多子世帯では、高卒後の大学進学希望の割合が平均より低く、就職の割合が高いとの調査結果もある。理工農学部の女子学生に支援を手厚くする案も出ている。
岸田首相は3月の教育未来創造会議で、学生が就職後、一定の年収に達した段階から授業料を返済する「出世払い」方式の奨学金制度創設に向けた検討を指示した。5月の提言に向け、対象範囲などに関する検討が続いている。
ニュースの評価